2016.11.05

「朗読」という世界  『花もて語れ』片山ユキヲ:著

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コミック『花もて語れ』片山ユキヲ:著にはまっています。「朗読」という世界があったんですね。人称や視点、その小説の意味を深く理解していないと、声を出して読めないし、人にも伝えられないという世界が瑞々しく描かれています。特に、私の好きな宮沢賢治の童話や詩が題材になっていて、読んでいて新たな発見があり、目からウロコが落ちます。高校生の頃、国語の試験の成績がさっぱりよくなかったのですが、意味がわかるまで教科書を何回も読んで試験に臨んだら成績が上がったのを思い出しました。

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2016.02.14

川口由一さんの『自然農という生き方』を読んでみた

10年ほど前だろうか、金丸弘美さんが書かれた「メダカが田んぼに帰った日」を読んで不耕起栽培に興味を持ったことがあります。YouTubeで渡さんの「生活の柄」を観ていて、phokaさんを知り、彼女の歌ってる「小さなトマト」いう歌を知り、その歌詞から山尾三省さんのことを思い出し。自然農法の福岡正信さんの「わら一本の革命」を思い出し、その周辺のコンテンツをYouTubeで観ていたら、川口由一さんが実践してる自然農法を知ることになりました。話すこと、内容、立ち居振る舞い、人を惹きつける何かを感じました。それがこの画像です。
どうですか? 宗教的な感じもがします。それで『自然農という生き方』とい本を読んでみました。書いてある内容は、このVTRとほとんど同じなのですが、生命の循環、理から生き方、環境問題に応用していく部分は共感する部分が多かったです。インタビューという形式をとって、環境問題家の辻信一さんが質問をして、それに川口さんが答えるというふうになっていて、後半はいじめや教育問題、医療の問題にまで踏み込んで辻さんが質問していくんですが、後半はやはりちょっと無理があるという感じがしました。しかしながら、生命のあり方、理は正しく、農業、環境問題には正しい答えをだしてると思いました、何しろ農のプロとして毎日実践してるからでしょう。彼から学んだものを、それぞれの分野でそれをまた誰かが引き継いでその問題と向き合い、それぞれの問題を解決すればいい訳であって、自分の場合も農とはあまり関係ないものを生業としてますが、彼から学んだことを、生きたかとして自分の中に取り込めるのではないかと強く思いました。彼の言ってる言葉のなかでも特に「落ちてるときに育てられてる」というのが今の自分に心に響いてきた言葉です。

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2015.08.30

カズオ・イシグロ (著), 土屋政雄 (翻訳)『わたしを離さないで』(ハヤカワepi文庫)を読んでみた。

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 村上春樹の何か書いたモノの中に「カズオ・イシグロ 」というイギリスの作家の名前が出てて、近くの図書館で見つけて最初に読んだのが短編集「夜想曲集」。まあそれなりに面白かったのだが、こんなものなのかな? という感じであった。
  次に見つけたのがこの本。これもまた全くの予備知識なしに読み進めていったのだが、すぐに物語にひきこまれた。「介護」と「提供」という言葉が頻繁に出てきて、介護をしてる人の話にしては、「提供」という言葉の意味がわからなくて翻訳がまずいのではないかと思った。さらに「ヘイルシャム」という施設というか学校での主人公の寄宿生活を語っているのだが、普通の学校ではないことは明らか。そうか「提供」というのは臓器の「提供」のことだったのか、ということが分かってくる。つまり、この「ヘイルシャム」という施設は回復可能な病人に臓器を提供するためのクローン人間の教育施設なのであった。その施設での、生徒たちと先生のやり取りや、生活、恋愛、その他彼ら彼女らの思いが、綴られていく。
  クローン羊(ドリー)のことぐらいしか知識がなかったが、もしもそれが現実に人間に適用さらたら? という作者の考えがリアリティを持って迫ってる。彼らは、恋愛もするし、嫉妬もするし、喧嘩もする普通の人間である。成人に近づくと彼らは、施設を出て、「介護人」になるか「提供人」になるかしかない運命を背負っている。ルーシーという主人公を通して、そんな運命を背負った、「普通」の人間の生活や気持ちや、考えを描き、その辺の社会問題をえぐり出す。
  むしろこの物語は、全くの予備知識なしに読んだ方が確実に面白い。ちなみに映画化もされており、ついでにそれも観てしまった。この場合、本を読んでから映画を見ることをお勧めする。

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2015.08.29

ハヤカワ文庫、ピーター・メイ(青木創:訳)『さよならブラックハウス』(2014年9月10日文庫初版)を読んでみた。

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 近くのBook offの推薦の棚に置いてあった。普段ミステリーモノはあまり読まないのだが、スコットランドのルイス島を舞台に、その周辺の住民の生活やら気候風土、風習などと相まって主人公のフィン・マクラウド(エジンバラ市警の警部)の過去と現在捜査中の事件が交互に交錯して物語が進んで行く。その辺が興味深く、どんどん物語に引き込まれていく。解説を読むと「一人称と三人称の章を交互に組み合わせ、過去と現在を順々に語ることによって物語の臨場感を高めている」とあるが、まさにそのことによって読者はこの物語にすぐに引き込まれるのだろう。
 スコットランド、ルイス島ストーノーウェイに関して全く予備知識もなく読み進めたのだが、自宅に居ながら一人で海外旅行をして、小さな島のバーで偶然隣の席に座った人と友人になってお酒を飲みながら彼の半生に静かに耳を傾けるといった感があった。
 googlemapのストリートビューで街を散策したり、その地方の風習で「グーガ狩り」(その地方では、シロカツオドリの幼鳥を捕まえて食べる風習がある)をネットで調べたり、何重にも楽しめる作品であった。「グーガ狩り」に興味のある方は「sula sgeir」「guga hunt」でググってみて欲しい。本書はイギリスで100万部のベストセラー、フランスでは3文学賞を受賞している。

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2015.08.23

『五つの赤い風船とフォークの時代』(なぎら健壱)を読んでみる

フー子さんバージョンかな?
こんな本が出てたんだ。幻泉館のご主人がブログで紹介していたので読んでみる気になった。実は風船は当時あまり聴いてなかった。自分にとってはこれもフォ-クなの? という感じで、秋田にも来なかったし、真面目に聴いたのは随分後からだったような気がする。好きな曲は「まぼろしの翼とともに」、今でもカラオケでよく歌う。西岡さんとフー子さんのハーモニーが好きだった、特にフー子さんの声は普通の女の子声という感じではなく、やはりフォーク少女とうか、ちょっと凄みがあった。センチメンタルな歌詞とフー子さんのちょっとした凄みのある声のアンビバレンツな感じが新鮮だった。そのフー子さんはすでに亡くなられてしまった。また、オートハープやビブラフォンなど、変わった楽器の音色も好きだった。解散ちょっと前のレーコードを買ってよく聴いていた。解散の72年といえば15歳、中三頃のことかな? 2000年に再結成されて、練馬の文化センターまで聞きに行った。金ちゃんと、青木まり子さんが新たにメンバーになった。アーリーに金ちゃんは知ってたけど、青木まり子さんの歌の上手さに感激した。フー子さんとはまた違った感じですね。彼女の「うろこぐも」はいいですね〜。

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2013.11.03

「This Land Is Your Land」と「Hobo's Lullaby」とエリック・ホッファー


「波止場日記」、「自伝」という順で読んでみました。前者は私にとっては難しかったですが、後者は、放浪時代の体験談が面白かったです。訳者あとがきを読んで、ちょっとヒントがありました。『彼は「社会に適応しえぬ者たち」に共鳴し、「旅としての人生」を生き抜く決意をする。それはアメリカにとって、決してマイノリティーではなない』。つまり彼は、アイデンティティーとして「放浪」と「思索」を選んだことになるのではないでしょうか? エリック・ホッファーがアメリカを体現する存在であるとすれば、「新しき伝統」というアイデンティティを求めアメリカは悩んでいることになり、移民としての自由な多民族国家を求めて、国自体が「放浪」しているといえなくもないのではないでしょうか? それよって、立つとこところが、“Land”なのであって、アメリカの底流には、そんな魂が流れているのではないでしょうか? 
日本では「This Land Is Your Land」という歌が「我が祖国」と訳されて歌われています。「Land」を「祖国」と訳して日本語で歌うと、なにやらうさんくさい匂いがして、ちょっとうんざりしてしまいますけど、上のような意味で、アメリカという国の底流に流れているものを日本語で歌っても理解出来ないのではないでしょうか? それよりも、「ホーボーズララバイ」の方がアメリカをより良く理解出来るような気がしますが、どうでしょう?

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2013.08.27

『墓石の下には眠らない』を読んでみた(メメントモリ)。そして“Bury me beneath the willow”


自然葬や樹木葬を選んだ人達のルポルタージュ。先日も偶然、TVで散骨がテーマの「あなたへ」という映画を見ました。田中裕子さんと高倉健さんが出てる映画です。
「櫻の木の下には死体が埋まっている」というのは元は梶井基次郎だったんですね。私は、「Bury me beneath the willow」を思い出しました。私を柳の木の下に葬って! そしてあなたはその陰で泣いてくれるでしょうか? しだれ柳が震えて涙が落ちます。山や海や空へ回帰したい。たぶんそんな理由なんだと思います。著者はそんな人々の気持ちにあたたかく寄り添い、生と死を見つめていきます。そしてその、死生観、宗教的、哲学的な意味を問うていきます。

死んでしまえば、そんなこと関係ないんじゃないかとも思うんですが、そう思うのもまた生きてる証なんだけど…。私の場合は、どちらかというとやはり海でしょうか。そして生命の海である宇宙へと回帰するというのを信じたいです。死んだらあの人は私の骨をかじってくれるでしょうか。な〜んちゃって。

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2013.02.11

香りに興味はあるが実は鈍感


『あなたに、大切な香りの記憶はありますか?』を読んでみた。「香」に関する八つの物語。意外と面白かったのは熊谷達也さんの『ロックとブルースに還る夜』。コーヒーとタバコとアルコールの入り交じった匂い、が彼の描くところです。私の高校時代にも似たようなお店がありました。東京から数百キロ離れた地方の城下町、「ハンク」というお店。勿論、カントリーやブルーグラスを聞かせるお店なんだけど、そんな匂いだったかな? もうひとつ圧巻だったのは、高樹のぶ子さんの『何も起きなかった』という物語。かいつまんで書くとすっかりネタバレしてしまうくらい短いお話。テーマは違いますが、太宰の『葉桜と魔笛』を想起させました。匂いの当てっこをした高校時代の友人同士の何十年か後のメールのやりとり。嘘を見破りながらもするメールの会話は獣の流す血の匂いがしてきそうです。奇麗な女性は絶対にそんな香りはしないものだと男性は思いますよね。「雪の匂いはカエルの生臭い匂い」だなんて普通、女子校性達が口にする言葉でしょうか? でも、そうゆうことを言ってる早熟な女性の心の中を覗きたいと切に思うのですが、実際はそうゆう匂いをかぐ程の鼻も勇気も持ち合わせていない私です。

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2013.02.05

「真島くん」は守りカルタ


漫画の話なんだけど、「真島くん」は守りカルタだったんですね、なるほど。その「真島くん」と「千早ちゃん」が直接対決と来ましたか。「真島くん」の切ない片思いを守りガルタに込めるのはかっこいいです。ひたすら愛を守ってる感じで「ちはやちゃん」は知ってるのかしらないのかただ自分のカルタをするばかり。それはきっと、「綿谷くん」に向いてるのかな? はてさて、その後どうなっていくんでしょうか? 作者の末次さん、「ちはやふる19巻」は憎らしい程上手いです。

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2012.10.23

そして十二・三年後にサンタフェで出会った夕焼けによって、ノルウェイの森


『ノルウェイの森』のなかで、永沢さんの就職祝いをハツミさんと僕との三人で祝った後、タクシーで渋谷に向かう途中「彼女が僕の心の中に引きおこす感情の震えはいったい何なんだろうと考えつづけていた。しかしそれが何であるのかはとうとう最後までわからなかった。」と僕が思う。そして十二・三年後にサンタフェで出会った夕焼けによってそれが何であったのかを理解する。「それは充たされることのなかった、そしてこれからも永遠に充たされることのないであろう少年期の憧憬のようなものであったのだ」。自分にとって、そんな風に女性を感じたことがかつてあっただろうか? …だからわからなかったのだと思う。
「彼女はだから特別な存在であり、誰かが何としても彼女を救うべきだったのだ」なるほど。それは「僕」の一部でもあり、救えなかった「かつての僕」もそこにいたのだともいえる。そして「僕」はおそらくハツミさんを失うと共に、その「心の震えを」その生において喪失してしまったのだ。この本を読むのはこれで4回目。今回はこの部分が非常に印象に残った。

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