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2015.08.30

カズオ・イシグロ (著), 土屋政雄 (翻訳)『わたしを離さないで』(ハヤカワepi文庫)を読んでみた。

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 村上春樹の何か書いたモノの中に「カズオ・イシグロ 」というイギリスの作家の名前が出てて、近くの図書館で見つけて最初に読んだのが短編集「夜想曲集」。まあそれなりに面白かったのだが、こんなものなのかな? という感じであった。
  次に見つけたのがこの本。これもまた全くの予備知識なしに読み進めていったのだが、すぐに物語にひきこまれた。「介護」と「提供」という言葉が頻繁に出てきて、介護をしてる人の話にしては、「提供」という言葉の意味がわからなくて翻訳がまずいのではないかと思った。さらに「ヘイルシャム」という施設というか学校での主人公の寄宿生活を語っているのだが、普通の学校ではないことは明らか。そうか「提供」というのは臓器の「提供」のことだったのか、ということが分かってくる。つまり、この「ヘイルシャム」という施設は回復可能な病人に臓器を提供するためのクローン人間の教育施設なのであった。その施設での、生徒たちと先生のやり取りや、生活、恋愛、その他彼ら彼女らの思いが、綴られていく。
  クローン羊(ドリー)のことぐらいしか知識がなかったが、もしもそれが現実に人間に適用さらたら? という作者の考えがリアリティを持って迫ってる。彼らは、恋愛もするし、嫉妬もするし、喧嘩もする普通の人間である。成人に近づくと彼らは、施設を出て、「介護人」になるか「提供人」になるかしかない運命を背負っている。ルーシーという主人公を通して、そんな運命を背負った、「普通」の人間の生活や気持ちや、考えを描き、その辺の社会問題をえぐり出す。
  むしろこの物語は、全くの予備知識なしに読んだ方が確実に面白い。ちなみに映画化もされており、ついでにそれも観てしまった。この場合、本を読んでから映画を見ることをお勧めする。

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