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2010.12.23

誰かに見つけてもらうために

例えばある人に関わることを、何十年もして異国のある場所で出会った夕焼けを見たときに思い出すというようなことがあるだろうか? 物語は、こちらの世界からあちらの世界に自ら選んで行った人々のことが描かれている。そしてこちらにとどまってまだ生きている人のことも。キズキからはじまり、直子、直子のお父さんの弟だったか。ハツミさんもそのひとりだ。彼女は僕が生活する寮での唯一の知り合いと言える永沢さんの彼女だ。彼女もまた、愛していた永沢さんが外交官として外国へ行った後、誰かと結婚してその二年後に手首を切って自殺した。そんなにとびぬけて美人ではないけれど、人の心を強く揺さぶるものを持っている存在。そんな彼女がもたらした「僕の」心の震えを、十数年後に出会ったニューメキシコ州サンタフェのピザ屋でビールを飲みながらその圧倒的な夕暮れのなかで「僕は」理解した。それは、これからも永遠に充たされることがないであろう少年期の憧憬のようなものだったと。
そんな出会いを僕は今までしてきたただろうか? そしてこれからも。
何十年もたって読み返した『ノルウェイの森』の一節にそれはひっそりとあった。しかもそれは誰かに見つけてもらうためにあるように僕には思われた。

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コメント

お久しぶりです。

村上春樹はまだ読んでいないのですが,年の暮れのご挨拶を申し上げたくて,ここにお邪魔しました。

さりげない断章のような記事を,いつも興味深く読ませていただいております。どうか,よいお年をお迎えください。

投稿: なも | 2010.12.31 22:25

おけましておめでとうございます。
お返事が大分遅れてしまいました。
実は、昨年暮れから『1Q84』に身も心も奪われるぐらいハマってしまいまして、他がなにも手につかない状態だったんです。やっと3巻目を読み終わりました。本年もよろしくお願いします。

投稿: face(なもさんへ) | 2011.01.10 10:55

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