« 石田衣良の短編 | トップページ | 「ドルフィンホテル」と「いるかホテル」を行ったり来たり »

2008.01.06

『スローグッドバイ』を読んでみた

掲示板に書かれていた『わたしと“ローマの休日”しませんか』というメッセージをきっかけに二人はオンラインの交流を深めていった。主人公は、そうやって約一ヶ月かかってオフラインのデートにこぎつけた。その日まで仕事もキッチリこなし、ヴェスパに乗ってグレゴリーペック風のいでたちでキメて出かけた。ところが銀座三越ライオン前の待ち合わせ場所に来たのは、別人だった。今まで交流してきた人物は72歳のオバアちゃんで、代わりにきたのはその孫の女性。驚いたけれども主人公はその孫娘をヴェスパに乗せ、そのオバアちゃんのいる老人ホームまで会いにいく。誠意をもって会話をして帰ってくる。そしてパソコンにはメールが2通来ていた。1通はオバアちゃんから、そしてもう一通は孫娘から。それには『わたしと“プリティーウーマン”しませんか』とあった。石田衣良の短編集『スローグッドバイ』のなかの『ローマンホリディ』というお話だ。なななか泣かせるではないか。オンラインの会話だけならなんとかできるけど、こんな展開になってここまでは自分にはできないな。きっと代わりにきたその女性にすぐにデートを申し込むかもしれない。というかオフラインでそんなデートなんか申し込む勇気なんか全然ないんだけど。とフィクションだけにちょっと甘口だけど爽やかな読み応えがあった。作者があとがきに書いた通りの読後感を持ったのであった。その10編は、ひとつひとつが違った味を持ったルックチョコレートを神経衰弱風に選んで、味わってるような感じであった。松田幸行正さんの青空に浮かぶ女性の写真を使った装丁が透明感があってかっこいい。下方の空白があるのに写真の上方に持ってきたタイトル案は大いに参考になった。

|

« 石田衣良の短編 | トップページ | 「ドルフィンホテル」と「いるかホテル」を行ったり来たり »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 石田衣良の短編 | トップページ | 「ドルフィンホテル」と「いるかホテル」を行ったり来たり »