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2006.11.19

『巡礼者たち』エリザベス・ギルバートを読んでみた

016671860000ジェフリー・チョーサーのエピグラフが素敵なのと、松尾たいこさんの装画が素晴らしいので読んでみる気になった。なんでも、エリザベス・ギルバートはこの短編集でアメリカ新人文学賞をダブル受賞したらしい。アメリカ文学は難しいというのが今までの印象だけど、例えばOヘンリの現代版みたいな感じ、表舞台とは無関係な市井の人々のちょっとした人生論。特に一番心に響いたというか、哀しいな〜、と思った作品は『着地』。エリート好きな独身女性がアメリカ中を男を求めて放浪していた。エリートがたくさんいるだろうサンフランシスコの酒場で、男に声をかけた。ところがかれはエリートどころか、農機のロゴ入りの帽子を被り、チェックのシャツに白いソックスの冴えない落下傘兵だった。他にエリートと思われる連中がたくさんいるのだ。そして数日間彼と行動を共にする。彼のようなような人に声をかける為にここに来たんじゃないと思いながら、またエリートを求め次の土地へ移ろうとするのだけど、結局彼みたいな人間に声をかけてしまう似た者としての自分に気づく。そう思いながらも彼の元を離れなれない。あ〜哀しい、そんなもんだよな、夢を見ているようでも、結局今の自分に帰って来てしまう。同じ事のくり返しだよな。ふと高田渡の♪ふと彼に出会い、ふとキスされて、ふと彼を好きになって、ふと素晴らしいと思って…ふと彼の変化に気づいて…。というあの歌にも通じる哀しい物語。特にアメリカによくありそうな、そして日本にも、そして僕の近くにもあなたの近くにありそうなとても哀しい物語なのであった。どうやってその輪から脱出しようか。それは自らが変化することなのだろう。

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