« 「夢の庭づくり」再放送? | トップページ | ロシア・アバンギャルド »

2006.10.29

『ソーネチカ』を読んでみた

ある人のblogに紹介されてたのと、装丁に興味があったので読んでみた。本の虫で容貌のぱっとしない主人公・ソーネチカ。1930年代にフランスからソ連に帰国した反体制的な芸術家ロベルトに見初められ結婚。当局の監視下の下で流刑地を移動しながら、貧しくも幸せな生活を送る。一人娘のターニャが大きくなりその友達の美少女ヤーシャが家にやってくる。そこで物語は予想外に発展していく。う〜ん、感想はとても難しい。現代の日本においてはどうという事もない、まあよくある話かもしれない。夫に裏切られても恨むでもなく、ヤーシャをも恨むのでもなく、主人公の徹底した弱者への暖かいまなざしを淡々と描いて、女の一生にしている。体制下の物語としは、パールバックの『大地』を連想させたし、ロマンスという意味では中学時代に読んだツルゲーネフの『初恋』を連想させた。モーパッサンの『女の一生』は読んだ事ないが、遠藤周作の『女の一生』もまた女の一生だ。ここではユダヤ、反体制、そんな物をかかえた、あるいは格闘した、せざるを得なかった「女の一生」なのかもしれない。ラングストン・ヒューズの愛の詩は黒人という事を取り去ってしまって読んだらただのラブソングなのと一緒。そうするって言うとなにかい? 黒人だからって愛の歌も歌えないのかい? と同じ、そういうロシア、ユダヤ版なのだろうか?

装丁が気に入った。挿画が誰かと思ったらこのblogでもお気に入りに入れてる木内達郎さんだ。いつもは老いるパステルなのだが今回は油絵か? なんといっても彼の絵が泣かせる。しかもその絵を殺さない控えめなタイトル。背の赤のファイルのインデック風のデザイン。緑のスピンがなんとも心憎い。あ〜あ、新潮社装丁室はいつも良い仕事してるな〜、畜生!!。

|

« 「夢の庭づくり」再放送? | トップページ | ロシア・アバンギャルド »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11585/12476107

この記事へのトラックバック一覧です: 『ソーネチカ』を読んでみた:

« 「夢の庭づくり」再放送? | トップページ | ロシア・アバンギャルド »