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2005.09.05

世界は暗黒だった

あの頃、僕にとって世界は暗黒だった。世界は僕の目の前に、海よりも広く大きな暗い口を開けていた。手足は恐怖で震えて、いつも鉛の生き物をその内に飼っていた。世界は暗闇で、その入り口で足をすくませ、夢というもう一つの世界に逃げ込もうとしていた。その夢は、輝かしい未来なのでは決してなく、もう一つの別の暗闇だった。湿ってはいるが、本当の暗闇から逃れられる唯一の、光だった。たとえばそれは、雨雲がたれ込める大海原の空に一条だけこぼれる光であり、まるで冬の津軽の冬の海岸を旅しているときに出会うようような、めずらしい光だった。それは暗黒そのものから、決して遠くにある訳ではなくて、ただそれよりは少しは諦めよりも対岸にあって、ほんのすこし暖かくほんの少し希望があった。たとえばそれは悲しい詩であり、同胞の匂いであった。そして僕はそちらへとりあえず歩いてみることにしたのだった。

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コメント

こんにちは。
このところ、写真も文章も、センチメンタルな方面へと向かっているようですね。
今もまだ暗闇のなかですか?

私のブログ本文中で、こちらのブログにリンクをつけた上に、faceさんのお名前を出させていただきました。
もしご迷惑なら削除しますので、言ってくださいね。

投稿: 木村衣杏 | 2005.09.07 15:33

こんばんは〜、いあんさん。
あはは、そうなんですよ。
今は、おもいっきりそういう気分なんですぅ〜。
もうすこしいきまっせぇ〜。

いえいえ、いあんさんの
blogに乗せていただくなんて
光栄ですう〜。
ただ、そんなたいしたことは
してないんですけどね。
長い間、お疲れさまでした〜。

投稿: face(いあんさんへ) | 2005.09.07 23:39

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