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2005.07.13

2重アンサンブル構造

この五人の女性達がそれぞれ、ウクレレ、鉄琴、アコギ、アコーディオン、ピアニカといった楽器を持ちながら、ある人はハワイのフラを思わせるようににこやかに唄い、ある人は一点を見つめ、ある人は暗い伏し目がちな表情で色気を出し、ある人は平井堅さんのように手を振り付けしながら唄う。そして昭和初期のちょっと今どき見ないようなコスチュームで出てくるのだ。怪しいと云ったらない。この怪しさは、ある意味で、鈴木翁ニさんのあの不思議な魅力的な雰囲気に不思議とマッチしてるように思われるのだが、不思議プラス不思議の組み合わせだ。

『蝙蝠傘とミシンが解剖台の上で出会ったように美しい』と云ったのはロートレアモンだが、あれはあくまでも自動記述による偶然の産物だ。しかし、既にご紹介した『フリーダムジャズ』と『ウタタネ』が『鈴木翁ニの不思議ワールド』で出会ったように美しくは、オフ・ノートの神谷さんが計算しつくして仕組んだ組み合わせなのだ。

不思議プラス不思議の組み合わせにフリーダムジャズがどうして組みあわせることができるのだろうか、その妙味は聞いたものしか分からない。バックで唸っているのだ。音が音を出したくて疼いて、抑えて、我慢してるのだ。そんな、欲求不満のノリに、ボーカルやコーラスが力を抜いたように変な歌詞の歌を唄っている。「破れストーブもえろ」とか「白樺林の真ん中でお前のかあちゃん死んでいる」といった奇妙な歌詞。しかも鉄琴やらピアニカやらアコーディオンやらウクレレやら音の洪水。それがまた不思議不思議。なんと云ったらいいのか、2重の螺旋構造ではないが、2重のアンサンブル構造と云えばいいのか。一つは音のアンサンブルの妙、もう一つは異質な魂のアンサンブルの妙。この二つのアンサンブルがうねるうねる。もうたまらない。かつてこんな音楽があったろうか? なんて考えていると、サックスがパオパオ、どんどん走ってる。ついて行くのがやっとだ。そういえば、その兆しは前にもあったような感じがする。そう、アーリー・タイムス・ストリングスバンドにもあった。その音がようやっと、新しい命を持ちはじめたといった感じだろうか。

『ウタタネ』の『kirakira』というアルバムを是非一度聞いていただきたい。そして鈴木翁ニさんが詩や曲もつくってるなんて知らなかった。この世界も是非堪能していただきたい。もちろんCDジャケットは翁ニさんのイラストだ。

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