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2005.02.08

倉本さんのこと色々

倉本さんは、どうやら悪口が嫌いらしい。ドラマ『優しい時間』で梓がマスターの悪口を言う。それを聞いていた拓郎は「親父の悪口を言うのはやめろよ」と言う。それはマスターが父親だからだという理由だけではないような気がする。『昨日、悲別で』もやはり駅長(布施博)が結婚したばかりの奥さんの悪口をいう。それを聞いていたオッパイ(石田えり)が「やめて」と言う。「ただたんに奥さんの悪口を言ってるかもしれないけど、私にとってはクニ(悲別)の悪口を言われてるような気がする、だからやめて」と言うのだった。それは、倉本さんのなかにある大事なもの、たとえば悲別ナショナリズムといったようなものを傷つけているということなのだろう。

『昨日、悲別で』の見所はいろいろあるけど、やはりラストシーンがいい。親友に先を越されオッパイに告白されてしまう。そしてオッパイが泣いて悲別ロマン座からでてくる、それを竜一はどういっていいか分からない。そしてオッパイは電車で去っていく。駅長に諭され上砂川の駅まで車を飛ばし追いかけていき、駅での告白。
「一緒にいたいンだ」「こんな私でいいの?」。ホントにドラマって良いですね。これでどうして泣かずにいられるだろうか。

今日は、エッセイ集『富良野風話』を読んだ。倉本さんが普段考えていることがドラマの下敷きになっているというのがよく分かる。いちいち紹介すると全部紹介したくなりそうで、もどかしい。たとえば、倉本さんは北海道に住んで長いらしい。そこで気になったのが廃屋。廃屋評論家と言われるほど、廃屋を見て回ったそうだ。廃屋には三種類、漁村に残された番屋の廃屋。二つ目は産炭地に残された炭住の廃屋。三つ目は農村に残された離農者の廃屋がある。ある炭住の廃屋の土間に紙切れがあった。それには、消えかけたクレヨンで「父ちゃんおつかれさま、冷蔵庫にチャーハンはいってます」とあったそうだ。そこから色々なものが読みとれるらしい。実際、ドラマ「北の国から」の発想は「ペペルイに残された離農者の廃屋に呆然と座り込んで生まれたのであった」と書いてあった。

これは極私的に思うことであって、当たってないかもしれないが、「北の国から」は出来るだけお金を賭けないでどうやって生きていくことができるか? こんなにも豊かな生活が出来るんだということ、本当の豊かさというものを見せてくれたドラマだと思う。しかも実に現実に即して。たとえば捨てられたもので富良野塾が潤ったというようなことの積み重ね…。そんな倉本さんの考えや思いがいっぱい詰まっているのが彼のこのエッセイだ。

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コメント

こんにちは!
私、このドラマ見たかもしれませんけど、
なんでオッパイさんがオッパイさんというのか
忘れてます。悲別というのは悲しい名前ですね。
石田えりさんはいつも体当たり演技をしてますよね。
「一緒にいたいンだ」「こんな私でいいの?」
ってほんといいですね。泣けてきますね。
これ以外にどんな言葉があるでしょうか。

それで記事を読んでいて思い出したのですが、
祖母が亡くなった時にお葬式があって住んでいた家を訪ねたんですね。
祖父はずっと前に逝っていて、ほとんどひとりみたいにして住んでいたんですけど。
そうしたら仏壇の隣のところに
何とかは何曜日、クロッケは何曜日とか、何とかはどことかいろいろ書いて
「ワスレルナ」と書いているんです。
自分に向かって自分で書いているんです。
その文字を見たときにほんとうに泣けてきました。
ではまた!

投稿: chiiko | 2005.02.09 16:28

こんばんは〜、chiikoさん。
小沼ゆかりというんですけど、
仲間うちでは、オッパイがおおきので
オッパイと呼ばれてたみたいです。

そんな思い出があるんですね。
残された家や手紙、
そんなものを見てると
亡くなられる直前まで
どんな様子で生活されてたか
生前の様子が浮かんできて
切なくなりますよね。
ああすればよかった
こうしてたらなんて
思ってももう後の祭りで、
そのことがまた切なくさせるンですよね。

投稿: face(chiikoさんへ) | 2005.02.09 20:26

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