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2004.07.04

クリストフの場合

 こんな暑い日の晩は、ロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』を思い出す。
 クリストフは小さい頃からすでに宮廷の作曲家でありピアノ演奏家であった。それで彼は自惚れていた。彼にはゴットフリートという名の叔父さんがいた。叔父さんはヨーロッパの各地を小間物を売り歩く行商人だ。そして年一回、クリストフの住んでる家に帰ってくるのだった。クリストフは最初、叔父さんを馬鹿にしていたが、自分の作った曲を自慢げに叔父さんに聞かせるのだった。しかし、叔父さんは、意に反して「駄目だ」という。やけになってもっとつくって聴かせると「尚いけない」という。悔しいと思っていると、ゴットフリート叔父さんが歌う歌を聴く。それはクリストフにとって、今まで聴いたことのない全く知らない歌であった。そしてその歌に衝撃を受ける。それは叔父さんが行商で覚えたヨーロッパ各地で庶民に歌われている民謡(フォークソング)だった。叔父さんはある暑い日の晩、クリストフを近くの草原に誘う。二人して、草原に寝ころび月や星を瞬くのをみつめる。そして、「風が木々をこする音、虫がささやく音、動物たちが呟く声を聴け。クリストフ、他に何を歌う必要があるだろうか?」と諭す。それは、クリストフが真の音楽に目覚める瞬間だった。
 それは、やはりこんな晩であったろうか? 高校時代の夏休み、何処へもゆかずこの長編を読んだことが懐かしい。その他、思い出すシーンはたくさんあるが、今その本は手元にない。思い出しながら書いたので、詳細は違うかもしれない。

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コメント

>風が木々をこする音、虫がささやく音、動物たちが呟く声を聴け。クリストフ、他に何を歌う必要があるだろうか?

( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪
素敵なフレーズですね。
自然って素晴らしいですよね。それに感動する心、まだあるかなあ、σ(o^_^o)
忘れないようにしなくっちゃ。(●^o^●)

投稿: あんず | 2004.07.04 19:28

またまた、こんばんは。
そうなんです、そこの部分が感動的で、
それでクリストフはゴットフリート叔父さんを好きになるんです。そしてそれがクリストフの音楽の原点になるんです。この物語はご存じかもしれませんが、ベートーベンをモデルに書いたといわれてます。普段、クラシックはほとんど聴かないんですけどね。

投稿: face(あんずさんへ) | 2004.07.04 21:41

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