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2004.06.14

感激の連鎖

 フォークソングの名曲ピート・シーガーの『花はどこへ行った』はショーロホフの小説『静かなるドン』からヒントを受けて誕生した。コザック兵の間で歌われていたロシアのフォークソングが小説に取り上げられ、さらにアメリカのフォークソングに生まれ変わった。しかもシーガーがつくったのは3番目までで、その後誰かが歌詞を付け加え、花は元へ戻るとなったらしい。
1.野に咲く花は どこへゆく
  野に咲く花は きよらか
  野に咲く花は 少女の胸に
  そっとやさしく いだかれる
2.かわいい少女は どこへゆく
  かわいい少女は ほほえむ
  かわいい少女は 若者の胸に
  恋の心 あずけるのさ
3.その若者は どこへゆく
  その若者は いさんで
  その若者は たたかいにゆく
  力強く 別れを告げ
4.戦い終わり どこへゆく
  戦い終わり しずかに
  戦い終わり 土にねむる
  やすらかなる ねむりにつく
5.戦士のねむる その土に
  野バラがそっと 咲いていた
  野バラはいつか 少女の胸に
  そっとやさしく いだかれる

 そして、またこれも有名なPPMの名曲である「パフ」のエピソード。当時カレッジの学生だったLenny LiptonがOgden Nashの詩を幾つか読んだ後、友人のLenny Edelsteinの家へ夕食に出かけ流途中、失った少年時代のことを思い出し、詩的なインスピレーションにうたれた。ところが友人の Edelsteinは家にいなく、鍵があいていたので中に入っていった。そしてルームメイトであるPeterのタイプライターで、「パフ」の原詩を書き残した。そして帰宅したPeterがこの詩を見つけ、興味をひかれ曲をつけた。その後仲間うちのコンサートなどでこれを歌い、後にPPMを結成して、プロのミュージシャンになり、1962年にレコーディングされ世界的に歌われるようになったということである。

 この二つのエピソードに共通するのは感激の連鎖である。元の素晴らしい何かに惹かれそれは新しい誰かを引きつけ次のフィルターを通して生まれ変わる。そうやって次々と面白いものができあがっていく。そこで僕は考える本当のオリジナルというのはなんなのだろうかと。無から全く新しいものなんて、そんなに簡単に出来るわけがないと僕は思っている。自分が作る詩やイラストもほとんど誰かの言った言葉や、読んだ本、見た絵、そんなものから出来ている。だから時にはパクリだといわれてもしょうがないようなものもある。でもこの二つのエピソードが物語っているように、感激の連鎖で文化は成り立っているとも言える。だから、もしも下手な僕の詩を誰かが読んでくれて、勝手に曲をつけてそのへんで歌って欲しいと思う。そしてそんな詩を書きたいとも思う。そんな風にHPやblogから世界的に歌い継がれるような歌が出来たとしたら、それこそ面白いではないか。それは何も自分のことだけをいっているのではなく…。でも本当のオリジナルというもはどこにあるのだろうか?

 なんか、今日はなかなかログインできないな! 自分だけだろうか?

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コメント

 faceさん、こんにちは。genkiです。
 「感激の連鎖」ということばに触発されて、ひとつ記事を書きました。

 http://bloomingsound.air-nifty.com/blog/2004/06/post_7.html

 《花はどこへ行った》は、一昨年のフォーク・クルセダーズ再結成のCDとライヴ(とそのライヴ盤)で堪能しました。フォークルは《花はどこへ行った》の後に喜納昌吉の《花》、そしてベッツィ&クリスの歌った《白い花は恋人の色》を続けることで、また「連鎖」を発展させているんですね。さすが、フォークの精神にかなった、粋なことをやるなあと感心しました。[genki]

投稿: genki | 2004.06.15 19:37

こんばんは、genkiさん。
トラックバックありがとうございます。
自分の下手かつ馬鹿な文章につきあっていただいて感謝です。
『オリジナルということ』を読ませていただきました。

>ピートがこういう考えをもっていたから、《花はどこへ行った》はひとびとに「開かれた」うたになったのだろう。

>もうちょっとおおらかな気持ちで、文化の連鎖の一助となっていけたら、とあらためて思った。

そのように言っていただいて、安心しました。
詩や絵を描いてるとき、いつも気になっていたんですよ。
人の言ったことや読んだ本からヒントを得て作ることが、
本当にいいことなのかって? って。
それで著作権やオリジナリティのことを、
他の人はどう考えてるのかな? って。
そんなとき、ふとこのピート・シーガーのこの曲の出来たいきさつが頭に浮かんで、
「それでいいんではないか」って言ってくれてるような気がしたんです。

フォークルの再結成のライブ行かれたんですか?
「花はどこへ行った」→「花」→「白い花は恋人の色」という連鎖はこの歌の構成的連鎖を意識してやってるのでしょうか? だとしたら確かに粋ですね。

ピート・シーガーはいまだ現役で元気にうたっていると風の噂で聞いてます。

文章が苦手でつきあってもらって恐縮です。
レスも苦手で、あんまりぱっとしませんがお許しください。

投稿: face(genkiさんへ) | 2004.06.15 21:49

「花はどこへ行った」懐かしい~♪
昔、誰かのギターでみんなで歌った記憶があるなぁ~。

でもって「パフ」は、息子君が幼稚園のころ、ママ&園児で踊った記憶があります。
のりのり~。o(*^▽^*)oあはっ♪

投稿: あんず | 2004.06.15 23:52

おはよう、あんずさん。
「花はどこへ行った」はなつかしいですよね。
自分もフォークシンガーに憧れたことがあって、
兄のガットギターで練習した思い出があります。
フォークシンガーの方は3カ月であきらめましたけど。
「パフ」には踊りもついてるんですか?
あんずさんの踊ってる姿をみたかったな〜。

投稿: face(あんずさんへ) | 2004.06.16 07:09

 faceさん。こちらこそ、ありがとうございます。こういう話題はのめりこんでしまいますね(笑)。
 たまたまフォークルのきたやまおさむさん(というより精神科医の北山先生)と仕事をさせていただいたことがあって、そのときからの後追いファンです。3年前に京都でやった「きたやまおさむ55歳バースデイ・コンサート」にも、のこのこ出かけていきましたですよ。そのときにバックを務められていた坂庭しょうごさんも今は亡く、作曲で参加されていた城田じゅんじさんもあんなことになってしまって、ちょっと落ち込みましたが……。
 《花はどこへ行った》の連鎖は、フォークルは自分たちが若くて、あの歌をいっしょうけんめい歌っていたころから現在までの30数年の流れを踏まえたうえで、「花はここにあるんだよ」と示してくれたような気がします。その意味で、もちろん無意識にでしょうが、ピート・シーガーの精神に忠実だったといえるのではないでしょうか。[genki]

投稿: genki | 2004.06.16 10:55

こんばんは、genkiさん。
フォークソングのこと自分よりも詳しいみたいです。(笑)
坂庭省吾さんは風船や高田渡なんかとも一緒にライブされてたんですよね。昨年の暮れに亡くなられたというのは、ネットで調べて、今日はじめて知りました。ご冥福を祈ります。城田じゅんじさんのことは、なんか、そんな事件あったななんて思って、これもまたネットで調べて、今日はじめて知りました。なんとも複雑な気分です。

北山修さんのファンなんですね、現在九州大学の教授ですよね。フォークルといえば京都、京都と言えば「ほんやら洞」でしょうか? これは「京都発自前文化」という記事で少し触れてます。「イムジン河」を放送禁止になる前に、無理矢理TVで歌う彼らの姿を見たことがあります。加藤和彦の曲と北山修の詩のコンビは最高でしたよね。

「花はここにあるんだよ」ですね。ピート・シーガーの理想。つまり、「開かれた歌、開かれたフォークソング、開かれた世界を僕たちも確かに受け継いでいるんだ」ということでしょうか。

その後、ピート・シーガーはショーロホフに手紙を書き、「花はどこへ行った」の楽譜を送っていたそうです。シーガーのモスクワ公演のときに二人とも会うことを望んでいたけれどもショーロホフの病気の為にかなわず、結局この歌を聴くことなく世を去ったとのことです。その後、ショーロホフの娘さんは「戦争は戦場にだけあるのではなく、全ての人に関わるものだということを、父は伝えたかったのではないか」とコメントを残しているそうです。

投稿: face(genkiさんへ) | 2004.06.16 22:04

>あんずさんの踊ってる姿をみたかったな〜。

(〃^∇^)o_彡☆あははははっ

一緒に踊る~???(●^o^●)

投稿: あんず | 2004.06.16 22:53

 genkiです。こんばんは。

>フォークソングのこと自分よりも詳しいみたいです。(笑)

 いえいえ(笑)。つまみぐいの後追いですから、すぐに底が見えます。
 「京都発自前文化」の記事は少し前に読ませていただきました。「ほんやら洞」──有名ですね。でも、行ったことはありません。ぼくはじつをいうと京都生まれで、いまも実家は京都なんですが、その間が抜けていて、京都で暮らしたことはなく、したがって、たまに帰省しても「おのぼりさん」状態です。こんど帰ったら、ちょっと探検してみたいと思います。
 フォークルのTVでの《イムジン河》、そんなのがあったのですか。見たかったなあ。

 ピート・シーガーとショーロホフの話は胸をうたれます。加藤和彦さんも「ずっと曲をつけたくてつけられなかったのが、この年になってなんとなくできた」といって、宮沢賢治の《雨ニモ負ケズ》を歌っていましたが、そういう相互作用──faceさんのことばでいえば、「連鎖」が文化の本質なんでしょうね。[genki]

投稿: genki | 2004.06.16 23:29

踊りましょうか?
「パフ」で踊る自信はありませんが、
暗黒舞踏なら少し踊る自信があります。
それから、二十歳の頃、よくディスコへ行ってましたよ。
自分が好きなのは、スティービーワンダーの「迷信」
とか、ナタリーコールの「ミスターメロディ」で
踊るのが好きでした。
サタデーナイトフィーバーしてました。

投稿: face(あんずさんへ) | 2004.06.17 07:10

当時GSの番組があって、
それになぜかフォークルも出てました。
自分が小6か中一の頃だったと思います。

《雨ニモ負ケズ》という歌があるんですか?
聞いてみたいです。賢治は好きで、今でも暗唱できる詩がいくつかあるんですよ。

京都ご出身なんですか? ここへ来てくれるきむらいあんさんは京都に住んでいらっしゃいます。同志社出身です。東寺のお近くらしいです。やはり以前は文章を書く仕事をされて、いまもgooのサイトにコラムを書かれてます。小説なんかもかかれてますよ〜。

投稿: face(genkiさんへ) | 2004.06.17 07:17

こんにちは。
「花はどこへ行った」
曲名を見るだけで平静でいられないほど好きです。
先日から目をつけていましたが(笑)
歌詞とは別の意味で(?)私には非常に大きい存在の曲なので
コメントもうまく出て来ませんでした。
「懐かしい曲」とか「思い出の曲」なんてモノじゃなく
30年来ずっと現在進行形でとてもとても大切な曲です…。

あんまり思い入れが強過ぎて
他のひとと一緒に歌ったり
べつな人が歌うのを聞きたくない曲ってありますよね。
私にとってこの曲がまさにそのひとつって感じです。
今回も独り小声で口ずさんでいました(^^ゞ

投稿: マージ | 2004.06.17 23:00

おはよう、マージさん。
この間のギブソン・ハミングバードモデルで歌われてましかた?
誰のバージョンが好きですか?
てゆうか、プロの歌手より自分のほうが理解して、歌ってる。
と思うぐらい思い入れの深い曲ってありますよね。
あえて涙を流しながら歌いたい歌ってあります。
もしよかった、おいおい何処かでいつか
思いっきり語ってください。聞かせてください。

投稿: face(マージさんへ) | 2004.06.18 07:11

faceさん、こんにちは!
きょうはコメント&トラックバックありがとうございます。
faceさんの書かれた「感激の連鎖」がきょうほんとうの意味で理解できたような気がします。
きのうの番組では「花はどこへ行った」もムッシュかまやつさんと小室等さんが歌っていたように思います。
「500マイルもはなれて」という曲も歌われていました。

「パフ」のできたストーリー。すばらしいですね。私もこの曲のことを知ることができてとてもうれしいです。
今度歌詞を見つけて、よく読んでみます。
魔法の龍が湖に住んでいるんですね。

ほかの方のコメントも読ませていただいて、みなさんの心に歌がうたい継がれている様子が伝わってきました。感激の連鎖です。
本当のオリジナルはみんなそれぞれが本当のオリジナルなのでしょうね。

私の拙い記事も連鎖させていただければと思います。
トラックバックを送らせていただきます。
ではまた☆

投稿: chiiko | 2005.02.14 15:15

face(chiikoさんへ)
トラックバックあんどコメント
どうも有り難うございます。
パフの訳を探してみました〜。
"Puff"と『Puffの歌』について
小学校の教科書にも載ってます。

投稿: face(chiikoさんへ) | 2005.02.14 18:47

はじめまして、こんばんは、とろやま太陽というものです。chiiko通信のchiikoさんのサイトからトラックバックに乗って来ました。詩を中心に書いています。今までも何回かfaceさんのな~んちゃって通信を読んだりみたりさせてもらっていました。
僕の書いた詩の中にハッピーの連鎖というものがあるのですが、faceさんの感激の連鎖を読んで、どうしてchiikoさんがハッピーの連鎖がいいといってくれたのか、謎が解けたような気がしています。もとはfaceさんのところにあったんだなあと。
オリジナルなものをつくるということは難しいものだと僕も思います。何がオリジナルなものなんだろうと。それでも、なぜ、THE BOOMの島唄が海外でも人気があるのか、その辺に、出来るだけオリジナルなものを作り出そうとするヒントがあるような気がしています。これから、どうぞよろしくお願いします。

投稿: とろやま太陽 | 2005.02.14 23:25

はじめまして、とろやま太陽さん。
コメントどうも有り難うございます。
なんかユニークなハンドルネームですね。
過去の記事をいくつか読んでいただいた
みたいでどうもです。
最近は詩をつくるサイトが増えてきましたね。
自分は最近はちょっと出来てないです。
ちょっと恋から遠ざかっているのかも。
な〜んちゃって。
これからもよろしくお願いします。

投稿: face(とろやま太陽さんへ) | 2005.02.15 19:48

Puffのできたエピソード、
"Puff"と『Puffの歌』について
http://www.psyche.fujita-hu.ac.jp/about-puff.htmlと口調も同じみたいです。

投稿: こんち55 | 2006.03.01 23:40

へー。オリジナリティということなら、リンクするのが礼儀かも。

投稿: 道端の石 | 2006.03.02 01:03

はじめまして、こんち55さん。
ああ、あのサイトですね。
自分も行って調べたことあります。
あの歌もまったく感激の連鎖みたいですね。

道端の石さんとはお友達なんですか?
また遊びにきてください。

投稿: face(こんち55さんへ) | 2006.03.05 08:06

はんじめまして、道端の石さん。
ここで述べようとしたことは、
全くのオリジナルなんてどこにあるんだろう。
とふと疑問に思ったことなんです。
なので、著作権とかオリジナルとか
そんなめくじらたてていうことなのかな〜
なんて思うこともあるということなんです。

また遊びにきてください。

投稿: face(道端の石さんへ) | 2006.03.05 08:09

皆でともに共有できることは素晴らしいですね。そのとき、ああ、これはあの人がこう言ったのだ、こう歌ったのだと思い、忘れないようにしようと出会いを大切にするから、響きあい、感動が連鎖していけるのだと、私は思います。だから私はオリジナリティをそういう意味で大事にしようと思っています。

投稿: 通りすがりですが | 2006.03.05 23:46

はじめまして、通りすがりさん。
たしかにそうともいえますね。
出逢いが大切、まさにその通りだとおもいます。
出逢いが出逢いを生み、感激を連鎖して行く。
世界もそうあってほしいですね。
フォークソングの良い所は、
いろんな枠を超え共有しようという
情熱なんでしょうか。

投稿: face(通りすがりですがさんへ) | 2006.03.06 22:18

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受信: 2005.02.14 14:54

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