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2004.06.26

『愛に関する十二章』を読む

 今日は、五木寛之氏の『愛に関する十二章』を読んだ、面白くて半日で全部読んでしまった。
 書評というのはそれ以上上手く表現することが出来ないので苦手だ。しかし、その目次を紹介すると、第1章 自分を愛する─ナルシシズムが教える愛のレッスン─、第2章 同姓を愛する─その愛情により深いものがあるかどうか─、第3章 家族愛─この振り払っても振り払ってもついてくる情─、第4章 人間愛─慈しむ心と悲しむ心と─、第5章、小さいものへの愛─つらい現実から、一瞬目をそらせる隠れ家のような愛─ 第6章 恋愛─恋と愛という二つの核を持つ楕円形─、第7章 仕事への愛─仕事がもたらす生きている手ごたえ─、第8章 性愛─万物生成の源─、第9章 物への愛─人間の言葉を理解する物たち─、第10章 言葉と愛─言葉に託された愛の形─、第11章 静かなる愛─肉体と精神がつながる新しい恍惚─、第12章 新しい愛の形─「第三の性」はなにをもたらすのか。

 この目次を見ただけでその内容が充実しているのがわかる。1章ごとに興味深い話があり、すべて紹介すると、全部写経しなくてはいけない。たとえば、第3章の家族愛。『どんな冷酷な仕打ちにもめげない愛』という小見出しがついていて、こんな話が載っていた。
 
 少年保護施設から一時的に親元に戻された子どもが、実の母親から摂関を受けて、体中に傷をつけて帰ってくることがよくあるそうです。そのとき、施設の人が「お母さんに叩かれたの?」と問いただしても、首を横に振って、「そうじゃない、お母さんは優しかった」と言い張ることが多いといいます。全身アザだらけになり、ときには死にいたるような摂関を受けてきた子どもがなおも母をかばう、その背景に一体なにがあるのかということを考えざるをえません。そこには憎悪とか悪とか道徳の退廃があるだけでなく、複雑に屈折した現代の家族の強い愛情というものが見え隠れするのです。

 そして『小さいものへの愛』という第5章ではアウシュビッツから奇跡の生還をした精神科医のフランクルの書いた『夜と霧』が紹介されていて、五木氏がフランクルに会いたくてアポイントを取ったがフランクルが病気のために叶わなかったこと、そしてその後亡くなられたことが書かれていて、そのときに聞いてみたかったことがあると。それは「極限状態におかれたとき、人はなにによって生き延びることができるのか」ということであると、五木氏は書いている。さらに、収容所でのフランクルの体験が紹介されている。

 ある日労働で疲れ果ててぼろきれのように、バラックの土間に横たわっていたとき、一人の仲間が転がるように飛び込んできて、「夕焼けがすごく綺麗なんだ、早く点呼場まで来い」と言う。みんなが急いで出て行くと、西の空には幻想的な色調の雲が燃え上がるような夕焼けの中から浮かび上がっている。その下には対照的に荒涼とした灰色のバラックが影を作っている。水溜まりは燃えるような空をうつしている。その光景を見た数分の後、その中の一人がこう言ったそうです。「世界って、どうしてこう綺麗なんだろう」フランクルはこのように、夕日に魅せられて、眺め入るタイプの人が、かえってアウシュビッツを生き抜いたといいます。中には、夕日が美しかろうが自分には一切関係ないという人たちもいたのですが、その人たちのほうが、先に倒れていったと報告しています。

 第十一章は更に発展した形で短編の『サイレント・ラブ』とい本になってます。ポリネシアン・セックスというものを紹介され、グローバルスタンダードから離れて新しい愛の形を提案されてます。

 そして第十二章、ロレンスの『チャタレイ夫人の恋人』を、生殖を目的としない性のあり方として「第一の性」だとすると、その後のウーマンリリブ運動に火をつけた、ボーヴォワールが唱えた「第二の性」。そして、今、第二の性によって解き放たれた女性と柔軟な考えを身につけた男性がともに喜びを得る性のあり方を考える、「第三の性」を提案する。

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コメント

( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪

これ、いいですね~。私も見つけて、読みたくなりました。
で、faceさんも力入ったコメントですね。(*^^)v

>摂関を受けてきた子どもがなおも母をかばう

そういう話は聞いたことがあります。絶対に悪く言わないって。

子どもって大好きな母のことはかばうものなんですね。母に愛されたい、そういう感情がそうさせるのかな?

子どもって可愛いですよね~。
大事にしなくっちゃ。

投稿: あんず | 2004.06.26 23:29

こんばんは。あんずさん。
お帰りなさい。
どこか、旅でもされてましたか?
自分もどこか旅でもしたいな。

この本は、面白いですよ。
あっという間に読んでしまいました。
しかも奥がそれなりに深いです。
愛とはこんなものだというのではなく、
百組のカップルがいたら百組のラブスタイルがある
というのが五木氏の言いたいことみたいです。

自分がかいたのはコメントではなくて、
書いてあることを写経しただけなんですよ。
本の感想とか、それ以上に何を言ったらいいんだ、
って感じで、苦手なんですよ。

投稿: face(あんずさんへ) | 2004.06.27 00:09

おはよう(^ー^)、faceさん。

私もこの本を読んでみたくなりました。五木寛之さんが書かれているんですね。(^ー^*)
どの章の「愛」も興味深いのですが・・・「第10章 言葉と愛─言葉に託された愛の形」の言葉と愛について興味ありますね。あと、「家族愛」もね・・・(^-^*)

具体的な例を織り交ぜて書いてあるんですね。
図書館で探してみようかな~!
素敵な本を紹介してくれてありがとうございます。

投稿: ぽっかぽか | 2004.06.27 05:58

おはよう、ぽっかぽかさん。
前々から五木寛之が好きで、
小説はほとんど読みました。
図書館で彼の棚を見ると、
新作が置いてあったので
手に取ってパラパラ見て
これは面白そうだなと思って
借りてきました。
第10章はやはり『万葉集』の藤原鎌足の歌が
紹介されてます。
そして、
「言葉によって新しい時代の渦巻きが生まれてくると」
というようなことが書かれています。
すいません、
書いてあることをそのまま書いただけで。

投稿: face(ぽっかぽかさんへ) | 2004.06.27 08:25

( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪

>どこか、旅でもされてましたか?
ちょっと心の旅をね。
な~んちゃって…(^^♪

>書いてあることを写経しただけなんですよ
気に入った部分を写すっていいですよね。
他の人にも是非教えてあげたいっていう気持ちが伝わってきますよ。( v^-゜)Thanks♪

また、素敵なフレーズがあったら、教えてくださいね。

それぞれのラブスタイル…ってd(゜-^*) ナイス♪


投稿: あんず | 2004.06.27 21:06

こんばんは、あんずさん。
な〜んちゃってが流行ってますか?
な〜んちゃって。

こころの旅ですか?
心のどこの駅ですか?
なんてつっこんでみたりして。
自分もこころが切なくなる部分へ
(心の千秋公園にでも? なんのこっちゃ!)
旅でもしようかな?

そうなんですよ、
写経だけでこのココログ出来ないかな
って考えることあります。
なにも自分の意見なんか特別付け加えることないなーって。
それだけいろいろな人の意見や考えてることが、
素晴らしいと思うことばかりなんです。
でも、あんまりやりすぎると人に意見、
押しつけてしまうようなこともありますかね。

だから、
それぞれのラブスタイルって言葉が生きてくる気がするんです。

投稿: face(あんずさんへ) | 2004.06.27 21:49

>自分もこころが切なくなる部分へ

そうそう
心臓に毛が生えてるほど、丈夫だと思ってた、あたしの心、結構やわみたいなの~。o(*^▽^*)oあはっ♪

>でも、あんまりやりすぎると人に意見、押しつけてしまうようなこともありますかね

大丈夫。
いろんな意見の中から、自分とぴったり合う(感性や価値観がね)フレーズを取り出せるから。
そういうお歳ですよ~、o(*^▽^*)oあはっ♪

期待してるね。(^^♪

投稿: あんず | 2004.06.28 13:30

こんばんは、あんずさん。
あんずさんはいつも元気ですね。
心臓に毛が生えてるんですか。
自分はのみの心臓かも。
な〜んちゃって。

自分もいま、こころの旅をたのしんでいるところです。
ハワイアンを聴きながら。

ところで、聞こう聞こうと思ってたことがあります。
あんずさんはなぜあんずさんですか。
長野県、更埴市のあんずの里ですか?
そのわけが知りたい。
1000万本のあんずですか?

投稿: face(あんずさんへ) | 2004.06.28 21:26

( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪

>あんずさんはなぜあんずさんですか。

あのね、杏っていうHNは、実は2つ目なんです。。
初めのHNはとっても気に入ってたんだけど、思いがけずいやなことがあってね。あんまりショックだったので、私にはネットは合わないのかも…。って思って、もうネットはやめよっかなって思って、しばらく離れてたんです。
でも、その時、ネッ友がすごく心配してくれてね、それがすごく嬉しかった。

あんず酒を見ながら、そうだ、やなことはこの杏の実の中にぼちっと凝縮して埋め込んで、私はゆ~らりゆ~らり水(あ、お酒ね。笑)の中を泳いでいこうって思ってね。
それで杏。
で、も一回ネット復帰しました。

ちゃんちゃん♪
o(*^▽^*)oあはっ♪

投稿: あんず | 2004.06.29 22:55

おはよう、あんずさん。
そんなことがあったんですか。
なんかわかる気がします。
自分も知らず知らずのうち、
人のことを傷つけてしまったことがあって
ココログやめようと思ったことあります。
それである人のアドバイスで救われたこと
あります。

投稿: face(あんずさんへ) | 2004.06.30 07:12

( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪

( ̄∧ ̄)(_ _)フムフム・・・
faceさんもやめよと思ったことあるのね。。。。o(゜^ ゜)ウーン

アドバイスってどんな?
( ̄0 ̄;アッ
差し支えなかったらね。(*゜.゜)ゞポリポリ

投稿: あんず | 2004.07.01 22:36

こんばんは、あんずさん。
そうなんですよ。
これからもそんなことは結構あるかもしれません。
その方のアドバイスは、
要は、話し合えばわかりあえる、
というアドバイスでした。
それで、メールで何回かやりとりして、
お互いの誤解だということがわかって、一件落着。
でも、やはりなんとなく気まずさが残ってしまって…。
でも、もうすこし時間がたったなら交流を再開したいなと、
考えてるんですよ。

投稿: face(あんずさんへ) | 2004.07.01 22:52

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