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2004.05.09

免疫学者のインタビュー

多田富雄さんへのインタビューだった。東大の名誉教授で免疫学者らしい。この人は全然知らなかった。でも遺伝学者柳澤桂子さんとの往復書簡『露の身ながら』(集英社)を出版とあって、この記事を読む気になった。柳澤桂子さんは2002年のNHK人間講座の『生命の未来図』で講義をされた方で、この番組をたまたま楽しみに見ていた。講義そのものも凄く魅力的だったんだけど、その話す姿が普通ではないなと、失礼ながら感じた。その理由が彼女のプロフィールをみてわかったとき、更に彼女の講義が身にしみてこちらに伝わってきたのを覚えている。彼女は何十年も原因不明の病気と闘っている。しかも生と死の境界をさまようような。それから何冊か彼女の著作を読みあさるようになっていたのだ。その彼女との往復書簡と聞いて、彼も何らかの病気を持っているのか? と思いきや、やはり2001年に脳梗塞で倒れ右半身不随と嚥下障害、講音障害になって今も闘病生活を続けているというのだ。そして、遺伝学者との往復書簡。命に対する考え方が変わったと彼は言う。「命は露のように儚いもの、という実感を味わいました。でもそれゆえに、いとおしいものだと思います。健常者だったころは、わからなかった感覚です。時には、めげそうになり、死の誘惑に駆られることもあります。麻痺してる側の首や肩が痛くて……。しかし、“こんな苦しみには負けない”と思って生きています。今は、命がなくなるまで生き抜く勇気がわいてきます——人が生きていく上で免疫から学ぶことは多い」と。更に「免疫というと、一般には、人体に害になるものを排除する役割を思い浮かべるでしょう。しかし、免疫が強力に働いてしまうと、逆に自身を痛めつけ、命にかかわる場合もある。そのような場合、免疫はあるところでその働きをとめるのです。『免疫学的寛容』と呼ばれる現象の一つなんですが、拒絶するだけではなく、共存関係も探るんですね。こうした現象は自分と他者との関係について、参考になると思いますよ」と語る。そして、「自分は障害と闘いぶつかりあっているが、柳澤さんはやさしく困難を受け入れ、病との共存を願われている」とも。なんと含蓄の深い言葉か。しかも、週4日は、病院へリハビリに行き、汗をながしているという。さらに、その身体で、「能」への造詣もふかく新作能への創作意欲満々と伺う。なんともすごいではないか。この記事に多くのことを学ばせていただいたような気がした。『露の身ながら』(集英社)も是非読みたいと思った。そのやりとりは、多岐にわたったとあった。そして「クローンをめぐる問題など、科学が人間にとって危険な方向に進んでいるとの懸念と、平和を求める心は、とくに共感するところが多かった。一方で、障害者には、それぞれの文化があるとも感じた」と。

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