自分の感受性くらい
PHP研究所の「わが心の詩」のなかにこんなのがあった。最近写経ばっかりですいません。でもあらたに自分の感想を付け加えることもないか。これを読んで感動した。ということで。
元の詩 茨木のり子 「自分の感受性くらい」
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
それを読んだ作家の氷室冴子さんの文章。
二度と耳にしたくないほどの汚いことばで、人をなじったことがある。二十代の終わり頃だったろうか。そんな汚い、悪意にみちたことばが、自分の口から出たことに傷つき、その傷を他人のせいにしなければ耐えられないほど苦しくて、自分が正しいと信じたくて、際限なく他人を憎み、周囲を責めていく。かつて自分のなかにあったはずの善意や無邪気さを、ひとつひとつあげつらい、失われたのは時代のせいだと決めつける。泣きながら、そんなことばかりを口走っていたある日、いつも黙って聞き役に徹していた友人が、一冊の文庫本をさし出した。ちくま文庫『心に届く話し方』川崎洋著だった。川崎洋さんの詩のように優しいエッセイ集の最後、ほんとうに一番最後に、この詩がぽんと載っていた。なんの解説もなく。気がつくと声に出して読み、泣いていた。こんな詩があるということ。それをそっと知らせてくれる友人がいたということ。すべてに感謝したくて、涙があふれてとまらなかった。
TrackBack
TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11585/676400
Listed below are links to weblogs that reference 自分の感受性くらい:
» 【48】「倚(よ)りかからず」茨木のり子さん著 [【号外】やまねこ新聞社]
茨木のり子さんの詩は、とても「凛(りん)」としている。
どこから見ても「凛」としているのだ。
そして、時々、そんな「凛」とした言葉たちに無性に会いた... [Read More]
Tracked on 2004.11.19 at 03:04 PM








Comments
数年前に「ポケット詩集」という本を買い、気が向いた時に自分の気分にあった詩を読める手軽さが好きで、手元に置いてある本があるのですが、その中に「自分の感受性くらい」があって、この詩を読んだ時、頭を殴られたかのような衝撃を受けた憶えがあります。最後の「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」。まるで、私に言っているの?と思うくらいでした。(笑)
Posted by: ぽっかぽか | 2004.05.30 at 01:15 AM
この詩もすごいと思うんですが、
それを読んで感想を述べた
作家の氷室冴子さんの率直な感想というか
このコメントに感動しました。
更に、この詩の存在そのものと、
それを教えてあげた友人に感動しました。
その他「わたしが一番きれいだ ったとき」という詩も
好きなんです。
「ポケット詩集」知ってますよ。
自分ではもっていませんが、
演劇の練習生たちがこの詩集を題材に
朗読の練習をしているところに立ち会ったことがあります。
確か何集かでていて、結構有名な詩が載ってますよね。
真壁仁さんの「峠」も載ってたような気がします。
Posted by: face(ぽっかぽかさんへ) | 2004.05.30 at 08:28 PM
氷室冴子さんの文章もいいですね。
友って宝物ですね。自分を見ててくれる存在って嬉しいですよね。
川崎洋さんフレーズ好きです。
某新聞の子どもの詩にコメントをつけていらしゃるんだけど、それがまた素敵なんです。
Posted by: あんず | 2004.05.31 at 06:32 PM
こんばんは。
川崎洋さんの本は「教科書の詩をよみかえす」を最近よんだところです。自分が詩に興味を持ったのは、はやり、フォークソング聞き始めた頃と一緒で、自分でも書きたいなと思って書きはじめました。中学生の後半頃だったでしょうか。そして20代前半まで良く書いてました。それからしばらくブランクがありまして、自分でHPやココログやるようになって最近また、すこしづつですが書きはじめました。特に影響を受けた詩があって、ルイ・アラゴンという人の「愛情のクッションで照らされたソファの上を鸚鵡たちが絶えず飛び回っていた」というような詩を読んで、こんな訳の分からない、しかも文法なんてどうでもいいんなら自分にでもできそうだなと思ったのがきっかけでした。そのころわけのわからない詩がけっこうできました。最近は少し考えがかわって、意味がちゃんとしたのもいいなと思えてきて、いろいろな詩人の詩集なんかを読み漁ってるんです。そのなかに川崎洋さんもいるんです。川崎さんの書いた本はけっこうありますよね。これからまたいろいろ読んでみたいと思います。
Posted by: face(あんずさんへ) | 2004.05.31 at 08:57 PM
いろいろ読んで、素敵なフレーズがあったら、また紹介してくださいね。(^^♪
Posted by: あんず | 2004.06.01 at 10:56 PM
おはようございます。
「自分の感受性くらい」っていい詩ですね。
私、茨木のり子さんという詩人の方を知りませんでした。こちらのココログで紹介されていたので最近少しずつ読んでいます。
感受性とか美意識というのは大切したいなと思います。
それって自分らしさですものね。
これからもいい詩を紹介していってください。
では、また。
Posted by: chiiko | 2004.06.03 at 07:23 AM
こんにちは。
chiikoさんのぺーじにも
いくつか気になる人が載っていて、
新川和江さんの詩集を紹介されてませんでしたか?
その人の詩集もいつか読んでみたいです。
映画でいえば「目撃者」。
アーミッシュの素朴な生活が美しく描かれてましたよね。
「道」古い映画ですよね。
NHKの名画劇場みたいなのでやってたの何回か見たことあります。
ストーリーはほとんど忘れてしまいましたけど、
主人公のジェルソミーナとい名前だけは記憶に残ってます。
なんか悲しい映画だったような気がします。
宮本輝はデビューの頃の作品とか、「青が散る」「優駿」「ドナウの旅人」「葡萄と郷愁」などを読みました。
Posted by: face(chiikoさんへ) | 2004.06.03 at 11:16 AM
はじめまして。
この氷室冴子さんのお話はとてもいいですね。
ぜひ、トラックバックさせてください。
よろしければ、うちのブログにもTBお願いします。
たくさんの人に読んでいただきたいと思っています。
--(や)--
Posted by: 山猫編集長 | 2004.11.19 at 03:03 PM
はじめまして、山猫編集長さん。
コメントあんどトラックバックどうも有り難うございます。
山猫さんといえば宮沢賢治ですか?
自分も賢治は好きですよ。
茨木のり子さんのこの詩も好きです。
さらに氷室さんの文章もものすごいものがありますよね。
『わたしが一番きれいだ ったとき』というのも好きで、
真似して君が とても 遠いときというのも
書いてみました。よかったら読んでみてください。これからもよろしく。
Posted by: face(山猫編集長さんへ) | 2004.11.19 at 09:17 PM
すばらしい「詩」をありがとうございました。
拝見させていただきました。
さすがです。お世辞ではありません。
すばらしかった。鳥肌が立ちました。
こういう目を持っていらっしゃるから、素敵な「詩」も書けるのですね。
これからもよろしく。
--(や)--
Posted by: 山猫編集長 | 2004.11.20 at 09:19 AM