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2004.05.20

二つの『シエリト・リンド』

 一つの曲を違う二人の演奏家で聴き比べるのは楽しい。その曲の良さ、聴かせどころ、二人の演奏家のセンスの違いや解釈の違い。色んな違いや反対に共通する部分の発見があったり、いずれにしてもその曲を理解する上では聴き比べるのが最も楽しいし、一番いい方法だと思う。最初に聴いたバージョンがあまりにも印象的すぎて、他のバージョンが色あせたものに思えるときもあるけど、反対の場合もある。
 この『シエリト・リンド』あるいは『シェリト・リンド』を知ったのはパコ・デ・ルシアという人のフラメンコギターのアルバム。その人も全然知らなくて、ただフラメンコ・ギターのアルバムというだけで図書館から借りてきたものだった。やはり演奏は素晴らしく、技術、音、ハートも申し分なかった。なかでもこのワルツの曲が特に気に入って、このブログのサイドバーにもアップしたくらいだ。そして数週間後、図書館で前から借りようと思って、人気があって借りられなかった『上松美香』さんのアルバムを発見。『上松美香』さんは『アルパ』の奏者で、ご存じの方も多いと思う。『アルパ』という楽器を説明すると、要するに本物のハープを少し小さくしたような楽器で、インディアンハープとも呼ばれてるらしい。弦の上の方に、一本ずつ糸巻機が付いている。ちょっと前『千と千尋の神隠し』の主題歌を歌った木村弓さん(彼女もライアーというかわったハープを持って登場する。あの詩のこともいつか書こうと思っている。)と共演したので、覚えている方も多いのではないか。その『上松美香』さん4枚目?のアルバム、六本木の『アガペ』というラテン・アメリカのライブハウスで演奏した『SALUD』を聴いた。いや〜、もうのっけからものすごい。宣伝の帯にもあるのだが、「炸裂するリズムの嵐、飛び散る汗、沸き立つ歓声」まさに興奮さめやらぬ白熱のライブだ。そして、あれこれはどこかで聞いたことがあるぞという感じで、この『シエリト・リンド』に再び巡り会ってしまった。解説には「メキシコの第2国家とも言われ親しまれているこの曲の題名は“美しい空”で、可愛い恋人を空にたとえて歌われます」とあった。そして彼女の演奏では基本はもちろんワルツなのだが、「ウアパンゴのリズムに変わり、更にベラクルスのハローチョのリズムで演奏されます」とあった。聴いたことのない人は、何いってるのかもちろん解らないと思うけども、いわゆる変奏曲で最後にまたワルツのリズムに戻ってくる。そしてその時に圧巻の会場全体を巻き込んだ大合唱となるところは聴き応えたっぷりだ。
 ワルツといえばダンス。ダンスといえばキューバ、アルゼンチンなどなど。ダンスといえばさかのぼっていえば、狩りの時の豊猟を願うダンス。勇気を奮い起こさせる根元的な音楽。そんなルーツを思い出させる音楽。そんなラテン音楽恐るべし。

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