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2004.05.19

ホーボー

boy.jpg フォークソングが今までの歌と大きく違っていたのは、演じる側と聞く側の垣根がなかったことである。昨日まで自分の部屋や教室で歌っていた人が、次の日はステージで歌っているという具合に、誰でも参加できた。しかも歌い手自らが作詞者や作曲者であり、上手い下手は関係なかった。ただ普段自分たちが考えていることや日記に書いた詩などを稚拙なギターに載せてメッセージソングとして歌っていった。それは音楽的にも文学的にも田舎の青年達に、アメリカのフォークソングの歴史からはじまりアレン・ギンズバーグやジャック・ケルアックのビートゼネレーションの時代までも目を開かせていったに違いないのだ。少なくても僕にとってそれは社会への参加の窓口であった。高田渡が歌う歌によってハーレム・ルネサンスの中心的な人物であったラングストン・ヒューズを知り、公民権運動にも関心を寄せるきっかけになった。また、吉野弘、黒田三郎、谷川俊太郎、金子光晴、山之口貘等の詩を知ったのも高田渡のおかげである。特に「ホーボーソング」とか「ホーボーズコンサート」という言葉からもわかるように、「放浪と自由」といったテーマを扱った歌はフォークソングの中心的なテーマであった。そいえば「フーテナニー」なんて言葉もあった。またジョーンバエズが主題歌を歌っていた映画ジョー・ヒルを観てアメリカのフォークソングのルーツみたいなものを知ることが出来た。ともかく最初はアメリカの亜流であったかもしれないけれども、「五つの赤い風船」などはアメリカの物真似ではないオリジナルな音楽性・独自性を、「斉藤哲夫」にはディランとは違った時代へのまなざしやリリシズムを感じたし、ノスタルジックではないが切ない歌がその他たくさんあり、自閉していた自己を解放するものであった。それはやはり国や時代の閉塞感も反映して、生まれるべくして生まれた歌なのかもしれない。

ホーボーは南北戦争後、アメリカ全土に鉄道網が敷かれようとしているなかで誕生した。
自由気ままな彼らの生き方は、自由へのアメリカ人の憧れと結びついて、コミックの主人公になるなどたちまちアメリカ文化に定着していった。そのホーボーにも波があり、過去に4回大流行を巻き起こした。最初は南北戦争後の10年間、2回目は第一次世界大戦後、3回目は1929年の大恐慌に始まる30年代、最後が第二次世界大戦後の時期である。
ホーボーにはいくつかのタイプがあって、働きながら放浪するホーボー、社会からドロップアウトして放浪をつづけるトランプ、酒飲みの放浪者バム、犯罪を常習とする放浪者イェグなどに分けられている。
ジャック・ロンドンの場合は、この分類に従えばトランプに属する。
ジャック・ロンドンの「ジャック・ロンドン放浪記」(川本三郎訳)(小学館)から

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コメント

小室等さんがどこかで言っていました。小室さんは初めはPPM Followersというグループで,まさにPPMのコピーをしていたのですが,そのうち「日本の=自分達のフォーく=音楽を作るとはどういうことか」を考えるようになったらしいです。

それで一時は百人一首の歌に曲をつけてみたこともあったそうで,そのうちに谷川俊太郎の詩に勝手に詩をつけてみた。そうしたら,当の谷川さんに会う機会があり,「こんな曲を作ってみたのですが・・・」と見せたら(聞かせたら?),「なかなか面白いね」となって,一緒に仕事をするようになったのだとか。

ほかの記事へのコメントで「中川五郎の私小説化」ということを書かせていただきましたが,あれは70年代初頭という,世間が騒がしい時期が終わった後,フォークはどうなったかということの一つと考えています。耳ざわりのいい「ニューミュージック」も「好きくない」けれど,身辺雑記を突き詰めてもだめじゃないかなと感じたのです。(これは中川五郎さんの当時の歌についてだけ言っていることです。)

岡林は演歌歌手と仕事をしたり,加藤和彦と一緒にテクノ風のアルバムを作ったりした後,「えんやとっと」に行き,今はどうなさっているのでしょう。

西岡たかし氏も,家庭的に不安定になられた一時期は,「ちょっと・・・」と感じる歌を作っておられたように記憶しますが,最近はどうなられたでしょうか。

投稿: なも | 2005.02.12 22:46

小室さんもかなり古いですね。
どういうわけか
小室さんはあんまり自分のなかでは
出会いがなかったんですよね。
拓郎なんかがヒットしてた頃
及川公平とかがいた頃に
すこし聞いたぐらいかな。
渡の歌にも
谷川さんの詩に
曲を付けたのがあるんですよ。
ごあいさつ。

もしかして
サイドバーにある、
幻泉館のご主人の
ほうがそのへんの
事情にもっと詳しいですよ。
よろしかったら。
訪ねてみてください。

投稿: face(なもさんへ) | 2005.02.13 19:32

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